『禁止』の手前、内側、裏側。

禁止看板

禁止看板やバリケードは、街を見渡せば至る所にあって枚挙に遑がない。
ただ、そのどれもが「禁止」という結論を訴えるのみで、
何に対して禁止なのかは理解はできるが、どのような気持ちや感覚でこの言葉を
発しているのかは皆目見当がつかない。
見当つける必要が無いと言われればそれまでだが、人間はあくまで感情の動物なので、
禁止というサインのみでは理解より先には辿り着けない。
つまり刻まれないのである。

切実に解決させたいのであれば、その先に多くの思いを込める必要がある。
それが、あなたの為、私の為、街の為、何だって構わないが禁止を掲げる
人間の心や解釈の動きを明記して伝えてみる。

本作品は、そのような形を規定のバリケードに付随させた。
言葉は余って、優にバリケードのサイズを越えたものもあるが、
伝えたいことをフルサイズで出力すれば自ずとそうなる。
たった「自転車を降りて通行して下さい」という言葉を投げかけるだけで、多彩な思惑が存在する。
街々に存在する「禁止」にはこのような裏ページが存在するのだと感じて頂ければ
それなりに刻まれるのではないかと思っている。
そして、数%の人が足を止め、その内の数%の人が心に刻んだのなら、
ただの禁止より圧倒的成果だと感じる。